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今、多くの人の注目を集めている"Gospel"。でもそこには、その歌をうたい継いできた人々の、数奇な運命の歴史があります。今からいくつかの歌を通して、ゴスペルの歩んできた歴史をたどってみましょう。
歴史の始まりは、アフリカ大陸からです。その昔からアフリカの人々は、短い言葉によるメッセージを、かけあいのメロディにのせてうたい継いできました。その歌声は、アフリカの、太陽の光あふれる大地、そして山々にこだましていました。 <Uyai Mose>
今からおよそ300年前、肌の色の黒いアフリカの人たちが、アメリカ大陸に移り住んできました。
わが主よ、いまここに来てください。 <Kum Bah Yah>
動物と同じような扱いしか受けられず、自らの人間としての尊厳を見失いそうになる時、それを思い出させ、生きる望みを与えてくれたのが、神を信じる信仰であり、全身全霊を込めてうたう歌、霊歌でした。黒人霊歌/ニグロ・スピリチュアルの誕生です。 Lord have mercy. <Lord have mercy>
黒人霊歌の中には、旧約聖書・出エジプト記から作られた歌がたくさんあります。何千年もの昔、エジプトの地で奴隷の苦役を強いられていたイスラエル民族。しかし、その嘆き叫ぶ声を神が聞かれ、モーセという指導者を送ってエジプトから救い出された物語、それが出エジプト記です。自分たちの奴隷としての身分と重ね合わせながら、いつの日か神が与えて下さる「救いの日」が来ることに希望を託して、彼らはそんな歌の数々をうたい継いでいきました。 エジプトにいるイスラエルの民に、解放を!悩めるわが民を 解き放て!
<Go down moses>
1865年、南北戦争の終結によって、アメリカ合衆国から奴隷制度は撤廃されました。しかしそのことは、すぐさますべての黒人が自由と平等を勝ち得たことを意味するものではありませんでした。依然として白人による黒人に対する差別は根強く残り、黒人の人たちは以前にも増して貧しく辛い生活を送らなければなりませんでした。
We shall overcome! 『あなたは牢獄に入ったことがあるか?』 <We shall overcome → Certainly Lord>
1963年、アメリカの首都・ワシントン広場に集まった20万人もの人に向かって、キング牧師は叫びました。「I have a dream! わたしには夢がある!」それはいつの日か、すべての人々が肌の色や生まれ素性によってではなく、その人の人格によって評価される世界が来るに違いない!という夢でした。当時の人々のうち、この夢を拒んだ人もいました。5年後、キング牧師は暗殺されます。しかし、彼の見た夢はその後も人々の心を動かし続け、アメリカの歴史の中に、世界の歴史の中に大きな変革を生み出す力となりました。それではここで、キング牧師の有名なスピーチの一節を聞いていただきましょう。 <キング牧師のスピーチ → Free at last(マイナー)>
ゴスペルは、アフロアメリカンの人たちの、苦難の歴史の中に生まれた「祈りのうた」です。そしてその歌の数々は、そんな現実の苦難の中にあっても生きる希望を捨てないで、生まれてきた喜びを感じて生きていこうというエネルギーに満ちあふれています。だからこそゴスペルは、聴く人々の心に、その魂にせまる力をもっているのです。
自由になった、ついに自由になった。全能の神よ、感謝します! <Free at last(メジャー)> 関連:I have a dream! (1.28 2000) |